着替えを済ませて通用口に行くと、若い子達が騒いでる。
「だれだれ?」
「めっちゃカッコイイよね?」
どうしたんだろう?
警備員さんに挨拶をして、騒いでる子達をかき分けて、通用口から出ると、壁にもたれて電話をしてる竜仁さんが居た。
「あったっちゃん! どうしたの? 帰りは明日じゃなかったの?」
「遥に逢いたくて、頑張って切り上げて帰って来た。それより騒がしいから車に行こうか?」
確かに後ろが騒がしい…
車に乗ると直ぐに抱きしめられ、唇を塞がれる。
「ん…」
「遥、逢いたかった。」
「たっちゃんおかえりなさい。私も逢いたかった。」
再び顔が近づいてきたので、胸を押し返す。
「たっちゃん車出してくれない? 皆が見てるから…」
「アハハ、そぅだな帰るか?」
途中食事をして、竜仁さんの部屋に帰って来た。
「たっちゃん、明日10時からマンションに家具が入るんだけど…?」
「明日、明後日と休みだから俺も行くよ?」
「本当?良かった。」
「遥、明日、日柄もいいし、マンション行く前に婚姻届出さないか?」と、婚姻用紙を机に広げた。
そこには保証人の欄に西園寺のお父様と私の父の署名があった。
「たっちゃん…いつ?…」
「実は今日昼に帰って来てたんだ。一緒に住むなら、入籍も早い方がいいと思って、親父と遥の実家に挨拶に行って、署名してもらった。」
「お義父様も挨拶に行って下さったの? お忙しいのに…」
「親父が、『大事な一人娘を頂くんだから、お願いに上がるのが筋だろ?』って言ってさ、急遽一緒に行って来た。 後は遥だけ、だけど、署名してくれるか?」
竜仁さんやお義父様の気持に、胸が一杯になり涙が溢れてくる。
「勿論、署名します。」と、微笑んで、署名をした。

