「はぁー」

放課後の都立沿岸高校、1ーCの教室で水原留衣(るい)は、大きなため息をついた。

「...い...ねえ、留衣ってば!」
親友の磯貝心(こころ)が、さっきからずっと呼んでいた。
「どうしたの?留衣!」

「えーと、実は彼氏が欲しいなーって思って。」
「はあ?彼氏?」
「そう、だってクラスの皆が彼氏いるのに、私達だけいないじゃん。」

「留衣、スマホ持ってる?」
「うん。」
心は、留衣のスマホを使い、
「贅沢暮らし☆素敵なお城のプリンセス♪」
という恋愛ゲームをインストールした。
「これ、自分で彼氏が作れるんだ!」
留衣がスマホを覗きこむと、
「昨年度恋愛ゲーム人気度1位!