「さっき八度一分。とりあえず市販薬飲ませて寝かせた。熱下がるまではうちに置いとくけど、その後そっち送るわ。今誰がいんの?」
『悪い、分かんねえ。今双子に頼んでたんだよ』
「くそ、タイミング悪ぃな」
思わず悪態をついた俺は悪くない。見事にタイミングが悪かった。
双子が頼りねえわけじゃないけど、あの人たちは俺たちとはまた別だ。それに兄の方はそう表立って動けねえ。
俺も仁も行けてなかったのは痛い。
これは早めに対処しねえといけねえな、と冷静に考える。と、電話越しにばたばたという音が聞こえてきて、それから仁の声。
『俺今から行ってくるわ。お前は?』
「柚都帰ってきたら行く。双子に連絡取っとけよ、出来たら弟の方。明日真湖来っからそれまでに終わらす」
『了解』
心奈を一人にするわけにはいかなかった。
とにかくあっちの方はとりあえず仁に任せておくとして、俺は各所への連絡担当だ。
少し悩んだ末、次の連絡先をはじき出す。人がそこまで目が回ってるか分からねーけど、連絡は二重になったっていいと言っていたのは大和さん本人だ。
「────大和さん?」
『おー、久しぶりだね星。なに、仁が何かしたの?』
「もしかしたら後で仁から連絡来るかもしれないですけど、病院行っといてくれません?」
『嗚呼、そういうことね』
どうやらまだ仁からの連絡は行っていなかったらしい。
察してくれた大和さんに感謝しつつ、お願いしますと端的に返した。
『そっちで動いてるんでしょ? 向かっとくけど、他に連絡はどうする?』
「……今はいい。夜もしかしたら恭二さんに繋ぐかもしれねーけど」
『了解。双子には回してあるんでしょ、なら大丈夫かな。何かあったらまた連絡頂戴』
はい、と答えると電話が切れる。マナーモードが解除してあるのを確認すると、机の上に放り投げた。
柚都が帰ってきたら、忙しくなる。
もう一件だけ連絡しよう、と投げたスマホから連絡先を表示した。すぐにコールすると、今度は一回もならないうちに電話が取られる。暇なのか。
『何があったの』
「詳しいことはあとで合流した時に伝える。危なそうな奴らに連絡取って安否確認してくれ、動けるか?」
『動くしかないでしょ、分かった。そっちは?』
「相方帰ってきたら動く」
了解あとでね、という返事と共に電話が切れた。そのままアラームをセットして、床に寝転がる。
ひんやりとした床が気持ちいい。三十分だけ、仮眠だ。
直ぐに訪れた眠気に身を任せると、俺は素直に意識を手放した。


