片浜さんも、きっと何かしらはありそうだけど、多分信じていいタイプの子だ。繋がっておいて損はない、まあ柚都に任せた方がいいかもしれないな。
「あっと、そうだ、お昼代……」
「あ、いらねーよ。手伝ってくれたし」
「ね、片浜さん。星もこう言ってるしいらないって」
「……ありがとう、ございます」
柚都も言ってはいたようだが、渋っていたらしい。
それでもそれ以上食い下がらずに大人しく頷いた片浜さんに、こちらも良しと頷いた。素直でいい。心奈にも見習ってほしいところである。
さっさとおにぎりを食って、ごみを捨てる。きょろきょろと当たりを見回す片浜さんは手持ち無沙汰でどうすればいいのか困っているようで。
「片浜さん、時間大丈夫?」
「え、あ……まだ大丈夫です、けど、ずっといても……田崎先輩も寝たなら、ここにいても仕方ないですし」
「あー……それもそうだな」
確かに、いくら先輩のためとはいえよく知らない男の家に上がり込んで居座るのはどうかと思う。
連れて来たのは俺ではあるが。否、片浜さんも着いてきたけど、何の説明もしなかったし。
けれど、言った瞬間の片浜さんの表情が目に留まった。
嗚呼、もしかして、この子は、と。何となく、勘付いてはいたけれど、正直なところ当たってほしくはなかった。
心奈に普通の友達ができるのは、一体いつの話になるだろうな。別に心奈の兄貴ではないけど、似たような立場ではあるから、気にかけてしまう。
片浜さんが駄目、というわけではない。寧ろ多分、心奈の性格からして分かって構っていた可能性もある。
この子も、恐らく、闇を抱えている。
手を出した方がいいか、出さない方がいいか、迷った末に柚都に任せることにした。多分、俺より柚都の方が適任だ。そういう判断を瞬時に下せるようになってしまった自分に、喜んでいいのか悲しめばいいのか。
「……多分すぐに学校行くと思うから、会ったら気にかけてやってくれ」
「それは、勿論」
「寧ろ連絡してもらってもいいんだけどな」
「あー……私、田崎先輩の連絡先知らなくて」
「あ、そうなの?」
黙るのは得策ではない、と少し悩んだ末にフォローを入れる。困ったように笑った彼女に、ちょっと失敗したかな、と反省。
てっきり連絡先くらい知ってるのかと思ったけど、見誤ったらしい。
そんな顔して笑うと、バレバレなんだけどな。隠してるつもりなのかもしれねえけど、俺だって伊達に場数踏んでるわけじゃない。自分からあえてこの道に飛び込んだわけじゃ、ない。
ぐしゃぐちゃと彼女の頭を乱暴に撫でてやると、びくりと肩を揺らした片浜さんがきょとんと俺を見てきた。


