勇気を出して、空を見上げて。



そうでなければ、こうして一緒に住むなんてすぐにやめているところだ。


「……真湖ちゃんは、元気?」

「元気、だよ、一応な。……明日、会うか?」

「明日?」


きょとん、とした顔をした心奈を尻目に、渡されたビニール袋から中身を取り出して机の上に並べる。


いくつか種類があるから、とりあえず色々買ってきたんだろう。今日帰すつもりはなかったから、ありがたい。


別になくても強制的に引き止めるが、ものがあった方が説得はしやすい。正直なところ、強制的に引き止めるのにも労力がいるのだ。


「……来るの?」

「おう、元々来るって約束だったからな。どれがいい?」

「いちご、のヨーグルト。……でも私帰らなきゃ、」

「だぁれが帰すかバカ。こんだけ買ってきてくれたのに、それも無下にするつもりかよ」

「そ、れは……」


身体を起こすのを手伝いながら、俺は厳しく心奈に言い放つ。


言葉を濁した心奈が、何も言い返せずに黙り込んだ。


「明日んなっても熱下がんなかったら仁に来てもらうからな。今日はぜってぇ帰さねえ。帰るっつーなら仁でも湊でも呼ぶ」

「でも」

「でももクソもねえ。さっさと食うもん食って薬飲んで寝てろ」

「……星のバカ」

「あァ?」


小さく落とされた言葉を聞き逃すわけがない。


溜め息を吐きながら、ヨーグルトとスプーンを手渡す。透明フィルムを受け取って、空のビニール袋に捨てた。


勝てないのを分かって、ここまで食い下がる。そこまで怖がっているということくらい、俺だってちゃんと分かっている。


それでも、だからこそ、行かせるわけにはいかない。


柚都がいいと言ってくれてるんだから、優先すべきは心奈のことだ。


もういらない、と半分以上残ったヨーグルトを、せめて一個は食えと脅す。何とか食べ切ったのを見てから、市販の解熱剤を飲ませた。


多分疲れからくるやつだから、風邪とは違う。分かっていたのかは知らないが、風邪薬じゃなくて解熱剤を買ってきた柚都には頭が上がらなくなりそうだ。


飲みかけのスポドリと未開封のそれを一本ずつ枕元に置くと、冷えピタをおでこに貼ってやる。もう一枚、冷えピタを半分に切ると、心奈に渡して腋の下に貼るように指示を出した。


本当は、内股に貼っても気持ちいいんだけど。流石にそこまではしてやれない。


ゆっくりと動きながら言われた通りに冷えピタを貼って、大人しく布団に入った心奈は、もう諦めているのと、本当に辛いのと、多分両方。


────無茶しい。