勇気を出して、空を見上げて。



◆side:星


俺の部屋のベッドに心奈を寝かせると、適当なジャージを出してもう一人の女の子と二人を残し、部屋を出た。


ぱたん、と小さな音を立てたドアに気付いた柚都が顔を上げる。


溜め息を吐いて冷蔵庫からペットボトルの麦茶を取り出すと、手近にあった自分のコップに注いで飲み干した。


「田崎さん、どう?」

「とりあえず制服のままじゃいけねーし、ジャージ渡してもう一人ん子に頼んだ。体温計も渡しておいたし」

「流石に着替えさせるわけにはいかないもんね……で、星はあの子と知り合い?」


柚都の問いに、一応と返す。顔見知り、程度だ。


直接喋ったことはあまりない。一方的に、色々と知ってはいるけど。


いうなれば、仲間というか。


言葉通り、同じ釜の飯を食った仲というか。


「つかお前こそあの女の子と知り合いか?」

「うーん……今日知り合った、子かな」

「オーキャンか? いいのかよおい」

「そうなんだけど、なんか田崎さんと学校同じみたいで。先輩後輩みたいだよ」


そうなんだ、と請け合いながら冷蔵庫を覗き込んで昼飯の算段を立てる。


丁度卵がない。


卵がゆは難しいか、そもそも食べられるのか。


かちゃ、と小さな音がして、女の子が部屋から出てきた。どうしたの、と柚都が声をかける。


ふと気づいて紙コップを探し、麦茶を注ぐと女の子に手渡した。


「ありがとうございます。取り急ぎ、熱だけでもと思って」

「何度だった?」

「八度一分でした。ちょっとお腹に入れるものと薬ってありますか? ゼリーかヨーグルトがいいって言ってたんですけど」

「俺買ってくるよ。適当に幾つか」

「柚都、卵も買ってきておいてくんね? あとスポドリと冷えピタ。今ねえから」


暑いからと冷えピタを乱用していたから今は丁度切らしていた。


じゃあ私戻ります、と女の子がまた部屋に消える。


玄関まで柚都を見送ると、嗚呼そうだ、と柚都が声を上げた。


「昼、冷蔵庫ほぼないでしょ。適当に買ってくる」

「あの女の子の分も買ってきてやって」

「分かってる。行ってくるよ」

「おう」


手持ち無沙汰になって、麦茶でも作るかと思い立ち電気ケトルに水を入れてスイッチを押す。


お湯が沸くのを待つ間に、ローテーションで使っていたピッチャーに麦茶のパックに放り込む。