机の中に仕舞っていた大学のノートと机の上に広がった資料を整理していると、息つく間もなく次の子を回される。三人目の相手をしているところで漸く先生が来て、少しは楽になった。
どうやら俺が優秀だったせいで先生がいっか、となっていたらしい。酷い話である。
それから十二時半までシフトをこなし、お役御免となった。午前中に仕事を二つ入れたので、午後からの役はない。
お昼はどうするか決めていなかったので、作らずに来ていた。もしかしたら先に仕事終わった組と食べに行く可能性があるかもしれなかったから。
まあそれもなさそうだから、大人しく家に帰って作るか、コンビにか。
「柚都、昼」
「どうする? 作るなら俺作るけど、冷蔵庫の中少なくなかったっけそういえば。それになんか約束してたでしょ」
「なんだよな……何も考えてなかった」
「おい」
そこは考えておいてあげてよ。
「じゃあ別行動でいっか。一緒に食べたら? 俺家で食べようかな」
「悪ぃな。夜は多分食うから」
「はいはーい。気ーつけてね」
「柚都もな」
そう言って星と別れ、控室になっていた荷物置き場から自分のリュックを回収して外に出た。
あっつ、と思わず声に出す。夏の暑さをなめていた。というか、冷房のせいで忘れていた。
帰ったらまずは換気かな、と思いながら中庭を通過。――――しかけ、足を止める。
片浜さんと、もう一人は確か、星が引き止めていた女の子だ。
けれど二人とも、どうにも様子がおかしい。
「……どうしたの、片浜さん?」
「あ、渡部さん! 田崎先ぱ、えと彼女が、熱あるらしくて」
「ない、ですから。大丈夫だってば。帰りますあたし」
「でも!」
「いいから、」
「二人ともストップ」
軽い言い合いが始まってしまい、両手を彼女たちの前に出して制した。
ふっと口を噤んだ二人に笑いかけ、その傍に寄る。片浜さんを擁護するわけではないが、星の知り合いでもある彼女に逃げられないうちに、やんわりと腕を掴んだ。
ここで逃がしたら、星に文句を言われそうだし。それよりなにより、熱があるかもしれない女の子を一人放って行くわけにもいかない。
「うちにおいで。星、呼ぶ」
「っ、や」
身を捩って逃げようとした彼女――――片浜さんが田崎、と呼んだ少女が、バランスを崩して転びかける。慌てて彼女を支えると、頭を押さえる彼女をその場にゆっくりと座らせた。


