勇気を出して、空を見上げて。



「じゃあ優秀なんだ」

「そういうわけじゃ、」


ありません、と言った彼女の表情に何かを感じた。


多分、追求するべきじゃない。


「それで、寮だっけ。大分横道逸れちゃったね」

「えい、色々話聞くのは好きだし楽しいので。……寮って希望者多いんですか?」

「いや、どうだったかな……でもうちの学部は他学部と同じになるから、一人暮らしも多いよ。ほら、看護とか医学部はそれだけで寮あるからさ。あ、園芸もかな。だから半分は通生だったはず。嗚呼それと、ルームシェアしてる人もいるよ、俺もそうだし」

「ルームシェア?」


ぱちぱちと目を瞬かせて、片浜さんが繰り返した。


まあ確かに、あまり聞かないかもしれない。俺も合格発表の日に星と仲良くならなきゃ一人暮らしだったし。


でも寮だって低学年のうちは二人部屋になるんだから、それ考えたらルームシェアと変わらない気がするけど。


「いるんですね、実際に」

「そっちか」

「え?」

「あ、いや、考えたことなかったのかと思って」


どうやら違っていたらしい。


「小説でちょっと、読んだことがあって。それは高校生四人組でしたけど」

「高校生は珍しいね。大学だとちらほらいるよ。たくさんってほどでもないけど」

「そうなんですか……食費とかはどうしてるんですか?」

「全部折半。下手にどっちかに多くしたって仕方ないし。寮生はでも、光熱水費は割り勘で食費は個々、ってのもいる。学生会館なら出るとこもあるだろうけど、うちの寮食事出ないから」


友達に学生会館がいるけど、そいつは朝夕は出て昼は各自って言ってたな。ただ、うちの大学は完全自炊。


その辺は相方とだね、と結論を出すと、彼女もそうですね、と同意してきた。この話はこれで終わりでいいらしい。


「他に何か訊きたいことある?」

「うーん……受験科目は今聞いても仕方ないですし……」

「嗚呼そっか、まだ高一だもんね。受験科目違うんだっけ?」

「あ、はい。新学習指導要領なので。一つ上からなので、まだ詳しくは分かりませんよね」

「そうだね……あ、でも、二十六年度入試なら確か出てるよ。そんなに大幅には変わらないと思うし、大まかな目安にはなると思う」


受付で上げた資料の中に入ってるよ、と付け足した。その辺りの確認は抜かりない。


ありがとうございます、と立ち上がった彼女に倣って俺も立ち上がる。ぺこり、と頭を下げた片浜さんを見送りつつ手を振った。


そういえば、先生来なかったな。まあ何とかなったけど。