勇気を出して、空を見上げて。


「俺覚えてねーから」

「そこは覚えといて欲しかったかな」


伊達に何度も個別相談経験してるわけじゃない。


次の仕事は二人揃って個別相談だ。というか、俺達がルームシェアしてるの知ってる奴等が運営にいて、揃って放り込まれたという方が正しい。


お前等どうせ帰る家一緒だろ、んで自炊してんだろ、だったら午前中で終わらせてやっからまとめて放り込んどくなというのは運営の一人の言葉だ。


まあ別に互いの間合いは分かってるし、下手に午後までいるよりはその方が好都合だし。


わざわざ拒否するほどのことでもなかったので素直に受け入れて置いた。


高校生の相手は、好きだ。


元々、俺は面倒を見てもらうより見てあげたいタイプの人間で、世話焼き。


だからこうしてどうどうと後輩になるかもしれない高校生の相手をすることは楽しい。


個別相談は、一年から三年までの学生が駆り出される。


各学年ローテーションを含めて全部で十人前後。


俺は毎年参加してたクチで、多分誰よりも個別相談に関してはベテランだ。


四年生は就活があって出られないから、今回で最後になるか文化祭が最後になるか。


どちらにしろ残り少ないんだから、やらない理由なんてない。


ちなみに星は今まで逃げに逃げ回って、今年初めて捕まったので初参加。


俺と一緒って口実だとはいえ、よく捕まえられたなと運営の奴等を褒めたい。


でもまあ、なんだかんだ星も面倒見いいんだから。俺は向いてると思うんだけど面倒臭がりの星はそれを認めようとはしない。


星の先を歩きながら教室へ向かう。二階の階段を上ってすぐの教室、受付からは比較的近くて分かりやすい場所だ。


「今何時?」

「宮沢賢治」

「ふざけんなくそ柚都」

「出来心じゃん。十一時十分前だって」


ちょっとだけふざけたら睨まれた。酷い。


ペロッと舌を出して今度は正しい答えを返す。ていうか星も時計持ってんでしょ、自分で見なよ。


「そろそろ、か?」

「うん。大体十一時に終わるから。ちょっと前後はするけど」

「ふーん」


……考えてみたら本当よくこういつもいつも逃げ回ってられたよなあ。


高校の時もオーキャンには来てないって言ってたし。ほとんど参加してないようなものじゃん。


流石に高校時代は来てなくても入学してからはボランティアで参加してるのが主だから、星珍しすぎる。