勇気を出して、空を見上げて。


あの、と声をかけられて慌てて視線を星と女の子から外し、前に向けた。


「大丈夫、ですか?」

「すみません大丈夫です。名前と学年言ってもらっていいですか」

「片浜心音、一年です」

「片浜、さん……あ、はい、じゃあこちらの資料をどうぞ」


いつの間にか、星と話していた女の子はいなくなっていた。


まあいっか、と残りの資料に視線を向ける。


大分減った資料、開始時間まではあと三十分くらいあるが、思ったより来てるらしい。


高校生真面目だな、星なんて遅刻し放題なのに。


でもなんだかんだ単位落としてないから凄いんだけど。


俺はそんなに要領よく動けない。


「星、そっちあとどれくらい?」

「何が……嗚呼、多分そっちと変わんねぇな」

「早いねー」

「な。つか柚都どれくらいで捌けるとか知らねーのかよ」

「俺受付初めてだから知らないって」


今までは会場設営とか個人相談ブースとかだったから。


「まあこの分なら仕事おわんの早そうだな」

「だね。で、この後まだ仕事残ってんの忘れないでよ?」

「……知らねーな」


全く、と溜め息を吐きながらまた来た高校生の相手。悪戯っぽっく笑った星は反省していない。


まあ連行するし、決まったことに関してはちゃんとやる子だから心配はあまりしてないけど。


なんというか、そういう会話の流れだ。


それからまたちらほらと来る人を捌いて、説明会が始まって少ししてから受付は解散。


長机やら椅子やらの撤退作業を手伝って今度は説明会が終わった後の会場準備に入る。


大体全体説明は一時間弱。人数が決まっているからできることだ。


その後は幾つかのブースに分かれて、それぞれ行きたいところに自由に行ってもらう形になる。


あるのは学生と教員による個別相談、三人の講師による模擬講義、学食の開放、休憩所として開放する教室には俺達の大学、学部でやっている活動の展示等。それから学生によるキャンパス案内。


オープンキャンパスはこの程度。文化祭でも時間を区切って個別相談とキャンパス案内くらいはやるけど、圧倒的にサークル優先の学生が多い。


が、サークル未加入の俺はよくそっちに駆り出される。同じサークル未加入の星は上手く逃げ回ってるけど。


本当、要領のいい奴。


「じゃー行くか」

「教室どこ?」

「第一かな。多分会場設営終わってるから時間まで待機ね」

「うす。で、先生は?」

「俺は石田先生だったけど。星は牧野先生じゃない?」