◆side:柚都
オープンキャンパスの中心になるのは、三年生だ。
星と二人、オーキャンに来た人たちの受付を済ませながら、俺は夕飯何にしようかなと考えていた。
もう大学も三年の夏。
ルームシェアを始めてから、早二年と数ヶ月が過ぎた。
俺も星も男にしては料理ができる方で、掃除は俺、洗濯は星の方が得意だった。
その辺りを考慮しつつ、家事は当番交代制。ご飯は朝昼晩の三回。
一つ助かったと思ったのは、弁当を作る方向で意見が一致したこと。
大学に学食はあるし、一応コンビニだって入ってる。
だが作った方が安上がりだから、と、これも二人交代で作ることになってよかったと思う。
ルームシェアを始めてまず最初に決めたことは、光熱水費と食費の出所。
星は完全に自分で稼いでいるようで、俺は一応軽く仕送りをしてもらっている。
光熱水費はさっくりと割り勘だと決まったが、問題は食費で。
いちいち割り勘にするのは面倒なので、食費用の財布を別に作っておくことにして、そこから出すことにした。
今日の食事当番は、俺。
疲れそうだから簡単なものでいいかなと算段を立てつつ、次から次へとくる高校生を捌いていく。
緊張した子、友達同士で楽しそうにしてる子、眠そうな顔をしてる子。オーキャンは確かに疲れるけど、俺は別に嫌いじゃない。
この子たちが後輩になるんだな、と考えるとちょっと楽しくなってくるから。
これだけの人数を捌いていれば流石に受付業務にも慣れてきて。
波に乗って仕事をしていると、隣で星の怪訝そうな声が聞こえた。
「……心奈?」
丁度人が途切れたのをいいことに、ぱっと横を向く。
県内でそこそこ有名な進学校の制服を身にまとった少女。
全体的に、細い子だと思った。健康的というより、どちらかというと不健康、病的な細さ。
ちゃんと食べてるのかな。家出、くらいじゃここまでいかない……よね。
きゅっと眉を寄せて、その子をそっと見つめる。
星、とぽつりと零した女の子がぱっと踵を返して、逃げようとするその腕を星がすんでのところで掴んだ。
「星、っ離し、」
「これ資料。十二時半にここな。待ってっから」
「……、」
渡された資料を握り締めて、女の子は俯いたまま。


