勇気を出して、空を見上げて。


「てか二人午後から?」

「バスがないんですうー」

「電車がないんですうー」

「何も言ってねーよ」

「言われることは分かってるから先に言っておいた」

「同じく」


二人とも上り組、家はここからもっと下。


元々路線は三十分に一本あればいい方。しーふはバス通で私やさっちーに負けず劣らず本数は少ない。まおーも地元のローカル線の方が接続が悪いという。


そのため丁度いい時間の交通手段がないのだ。


こんな時はチャリ通が便利だったりする。


「私ら好きな時間に来られるもんねーおかんー」

「だな。詩月」

「雨の日は困るけどねー」


図らずしもチャリ通三人組。


詩月は家からここまで二十分から三十分だそう。私とさっちーよりは近い。


「あーでも教室は別か」

「嗚呼数学? だってそっち進んでんじゃん」

「まあSSHだから一応。他に午後組いないの?」

「上のメンツがそろそろ来るんじゃん?」


下り組か。


私とさっちー、それと詩月にハナちゃん。G組H組はSSHというコースに一年のうちは全員入っている。


二年からは、G組は普通科と普通科SSHコース、H組は理数科と理数科SSHコースにそれぞれ分かれることになる。


二年生からは二クラス合わせて四十人に減らされるため、希望しても全員が続けることができるとは限らない。


私は続けられるなら続けるつもりだけど、さっちーはもう嫌だとか言ってるし。


嗚呼でも詩月とハナちゃんは続けそうだ。


SSHというのは国が支援している理数特化のコースで、大学や企業との連携講座、課題研究、それに伴う論文発表などをすることになっている。


また普通科は物化、生地でひと科目ずつ選択なのに対し、SSH生は物化は必修、生地からひと科目と三科目の履修。数学も普通科が週四なのにSSHは週六。金曜日は数学がダブルヘッダー、そして普通科より一単位多いため普通科が金曜は六限で終わるのが主なのに対しSSHは確実に七限授業。


時々普通科が七限になるときは何か総合的な授業が入る時だ。


その時間、SSHは変わらずに数学を必死に解いているのだが。


「あ、結構人いるー」

「ちはー」

「あら、沙菜ちゃんにゆーちゃん」

「ウチらどいた方がいい?」

「やーパンだから別にいいよー」


と、ドアは開けたままだったため暖簾をかき分けて二つの顔がひょこっと現れた。