勇気を出して、空を見上げて。


斜め向かいに座っていた二人が、気を利かせて奥に二人並んで座ってくれる。ありがたく空いた席に三人で腰を下ろすと、奥から時計回りにまおー、しーふ、さっちー、詩月、私という順になった。


一応文芸ではない詩月を気遣った形。


「てか片岡さんだっけ、じゃん」

「村瀬さんだったよね? しーふさん」

「しーふさんてなに。さん必要?」

「何で知ってんの?」

「体育。一緒」

「あーそっか、まおーだけ違うもんね」


体育は基本二クラス合同で行われる。私達G組としーふ達A組は一緒なのだ。


「もしかして噂のまおーさん?」

「噂かどうかは知らないけどまおーです」

「おかん何広めてんの?」

「そんなつもりはないよー? ただあだ名で話してるだけだよー?」

「くっそふざけんな」


呑気に弁当を広げながら舌戦を繰り広げていると隣の詩月に笑われた。


これが通常運転の文芸部。


人は少ないが。普段は部屋に入りきらない程度に入る。しかもほぼ一年生。


私達の学年の文芸部員は、現在十人を超える。正確な人数は分からない。色んな人達が出入りしてるから。


何故か一番多いのが理数科であるH組の生徒で、これには顧問も首を捻っていた。


ただG組も理数特化のコースなので、私とさっちーも人のことは言えない。


「初めて入ったけど、ホント狭いねこの部屋」

「もとは何だっけ、物置?」

「隣の生徒会室のねー」

「物置だったの!?」


文芸部があるのは教室棟の最上階、東側の奥。H組の教室を通り過ぎてすぐ右に折れた、生徒会室の手前の部屋だ。


元々は生徒会室の物置だったという話を先輩から聞いた。


確かにそれを信じてしまうくらいには狭く、とてもじゃないが部員全員が入り切れるスペースはない。


人が集まりすぎると部室前の廊下に何人かはみ出していることもしばしばで、そのため生徒会役員の人には出入りに関する迷惑をかけている。


その生徒会にも文芸部は何人かいるのでどうってことないが。


寧ろ廊下ならまだしも時々生徒会室にまで部員がいるのだから侮れない。


生徒会室と癒着してるとか噂立てられても仕方ないと思ってる。