部屋に戻ると、エミが抱き付いてきた。

潤んだ瞳で見上げてくるエミにくちづけする。


エミは甘い吐息を漏らし、盛りがついたように充のベルトに手を掛けた。



「こーら」


たしなめて、充は困ったように笑う。



「どうした? 急に」

「ダメ?」

「ダメじゃないけど」


言って、充はエミをベッドに倒す。

エミを見降ろし、



「俺は、されるよりする方が好きなんだよ。知ってんだろ?」


耳朶を甘噛みしてやった。

ぞわりとエミの肌が逆毛立ったのがわかる。


強く、美しく、しなやかなエミの、普段は見られない羞恥する顔。


体の中心に熱が走って猛る。

ダメなことだと思いながらも、愛が磨かれ尖っていく。




翔とはどんな風にヤッてたんだ?

翔の前でもそんな顔をしていたのか?


俺と翔はどっちがいい?




充はどす黒い感情と一緒に、エミの中に押し入った。




エミの本心。


知りたいのか、それとも知りたくないのか、自分自身でさえわからない。

この家を出てしまえば本当に父と母は壊れてしまうと思うと身動きが取れないのと同じように、エミに対しても、充は壊したくないからこそ想いを言葉にはできないままなのだ。