目を覚ました時には昼を過ぎた頃だった。

充はあくびを噛み殺し、起き抜けの一服とばかりに煙草を咥える。


ぼうっと煙を吐き出しながら、真っ白い天井を見上げた。


3階建ての実家の、3階部分は、今や、ほぼ充しか使わない。

そこらのマンションのワンルームよりも広い自室で、充はそのほとんどの時を過ごしている。



煙草を消してもうひと眠りしようかと思った時、コンコン、と、ドアをノックする音が。



返事も返していないのに、ドアを開けた翔。

翔はコンビニ袋を手に、「うぃーす」などと笑いながら、充の座るベッドへと近付いてきた。


起きて早々、うるさいのが来たなと、充は思わず舌打ちしそうになった。



「何の用だよ、お前」

「酒、一緒に飲まねぇかなぁ、みたいな」


翔は「ほら」と、持っていたコンビニ袋を差し出してきた。

中にはたくさんのビールの缶が。



「俺、今起きたばっかだぞ」

「知るかよ。早く起きねぇ方が悪ぃんだろ」


そういう問題じゃねぇだろ。

つーか、一応、まだ昼だぞ。


色々と言いたいことはあったが、わざわざ言葉にするのが面倒なので、やめておく。


翔はローテーブルに缶とつまみを並べ始めた。

どうやら本当に飲み会が始まってしまうらしい。



俺、朝方まで飲んでて、多分今も二日酔いの状態なんだけど。



でも、やっぱり面倒だから、言わないでおいた。

ベッドを降り、翔に促されるままに缶ビールのプルタブを開ける。


何に対してなのかはわからないが、とりあえずふたりで適当に乾杯した。