「高校生だと?」

「うん。高3だよ。俺らの3つ下」


『3つ下』というのに、カイジは素早く反応した。

真理と同い年だ。



「お前、それただの、真理ちゃんの代わりじゃね?」


目を見開き、翔は何も言わなくなった。

カイジはそれを肯定と受け取る。



「なぁ、翔。目を覚ませよ。真理ちゃんは死んだんだ。人は誰の代わりにもならない。そんなこともわからないのかよ」

「………」

「大体、それ、妹を抱きたいって言ってるのと同じじゃねぇかよ。気持ち悪ぃよ、お前。頭、イカレてんじゃね? 真理ちゃんが見てたらなんて言うか」


翔は顔を覆った。



「アユはそんなんじゃねぇよ」


声を絞るように、翔は言った。

拳を作った翔は、



「俺はアユを放っとけねぇんだよ。ひとりで苦しませたくねぇし、もう辛い想いもさせたくねぇ。一緒にいて、笑わせてやりてぇんだよ」


なぁ、翔。

気付かないのか?


お前のそれは、ただ単に、真理ちゃんへの後悔の念があるからこそで、他人を救うことであの頃の自分を許してやりたいだけじゃないか。


それは『好き』でも何でもないんだよ。

混同して、余計、辛くなるのは翔の方だろ。



「俺は認めない。そんなの、絶対に認めないからな」


カイジはまるで、親の再婚を反対する子供みたいに、言い捨て、怒りを押し殺してきびすを返した。