頭がよくて、さらにサッカー部のキャプテンまでこなしている、完璧人間みたいな悠生。

対照的に、ちょっと抜けてるけど、可愛くてほんわかとしてるケイ。


どうして付き合うことになったのかは知らないが、こうして見ると、それなりにお似合いなのかもしれない。



ぼうっとふたりのやりとりを眺めていたら、



「アユ! お前もお前だよ!」


悠生の怒りが、いきなりこちらに飛び火したから驚いた。



「お前はさぁ、ちゃんとすれば、テストでもかなりの点が取れるくせに、何で真面目にしないんだよ? 短大に合格してたら遊んでてもいいのか? そういうのの所為で、ケイまでこんな風になるんだろ」


うるさいなぁ。

あんたは私の親かっつーの。


とは、余計、悠生の怒りの炎に油を注ぐ形になるので、言えるわけもないのだけれど。



「いや、だって暑いじゃん?」

「ふざけんな!」


悠生の咆哮が恐ろしい。

未だに首根っこを掴まれたままのケイなんて、もうすでに半べそだ。


ふてくされたアユはまた肩をすくめ、



「悠生って頭固いよね」

「はぁ?」

「何でもかんでも自分のものさしに嵌めないでって言ってんの。私は私。別に悠生に迷惑かけないじゃん」

「そういう問題じゃないだろ。俺はお前のためを思って」

「私のためを思うなら、ちょっと静かにして。頭痛くなるし。嫌いなのよ、怒鳴り声」


悠生は、怒りを押し殺したような顔で、その場を去った。

ケイはおろおろとしながらも、悠生の後を追う。


何だかなぁ、と、アユは思った。