ヨシキは脱力するように、その場に倒れた。



「真理」


名前を呼べば、愛しいあの人が、あの頃の姿で目の前に現れてくれる。

ヨシキは笑いながら手を伸ばした。



「ねぇ、俺も死んだら空を飛べる?」


真理がほほ笑む。



「一緒に色んなところに行こう?」


真理はほほ笑みながら、うなづいてくれた気がした。



耳鳴り。

こめかみを打ち続ける鈍痛。


だんだんと、息ができなくなっていく。



「愛してるよ、真理」


それでもヨシキは笑った。



「もうすぐそっちに行くからね」


もう、恐怖はない。

ひどく穏やかで幸福な中で、ヨシキは目を閉じた。