中学2年の、2学期。


体育祭や文化祭などが控えていたため、どんどんクラスは団結していった。

その所為でというわけでもないが、楽しくて、ケイは真理の存在を忘れることが多くなっていった。




そして、文化祭の打ち上げの夜。


ケイは悠生に告白した。

死ぬ思いで「付き合ってください」と言ったら、悠生は「うん」と言ってくれたのだ。




夢見心地のまま帰宅して、眠れずにいた深夜。

本当に久しぶりに、真理から電話が掛かってきた。



「ケイのクラスの合唱、すごくよかったよ。絶対に、投票で1位になれると思ってたのに、残念だったね」



あのね、それよりね、私ね、悠生くんに告白してオッケーもらったんだよ。

ねぇ、今度、真理のカレシと一緒にダブルデートしようよ。

遊園地に行こう。

あ、やっぱり水族館の方がいいかな。



言いたいことがいっぱいあったケイだったが、



「でも、私は去年のクラスの方がよかったな。楽しかったね、あの頃。ケイと一緒だったから、何でも楽しかった」


電話の向こうの真理は、寂しそうな声で言った。


だから、悠生とのことを言えなくなってしまった。

ケイは真理に「どうしたの?」と問い掛けた。



「何かあったの? 私でよければ相談に乗るよ。私たち、親友じゃん」


無神経な、あの頃の自分。

どの口が『親友』だと言えたのだろう。


真理は努めて明るい声で、



「何でもない。大丈夫。ただちょっと、さっきお兄ちゃんと喧嘩しちゃって。それで萎えてるだけだから」