ここ数年、両親を失ってからという悲しみと苦しみが締めていたわたしの感情が怒りへと変化して込み上げてくる。
涙で濡れた頬を拭ったその両手を腰に当て、わたしはわたしよりもずっと背の高い彼を見上げ、睨んだ。
リュシアンは鋭い鷹の目をまん丸にして、こちらを見下ろしている。
こうしてあらためて見ると、彼は血の通った、とても人間らしい人間だわ!
いったい誰が、『人を手に掛けた』という噂をでっち上げたのかしら。
その噂を少しでも信じた自分が呪わしい!!
「いったいなんのことだ?」
あくまでもしらばっくれる気なのね。いいわ、だったら教えてあげる!!
「どうして言ってくれなかったのかしら? 貴方がわたしのファンだったって、ちっとも知らなかったわ」
わたしは唇を閉じ、そしてまた開いた。
「絵を買ってくれたの、貴方なんでしょう?」
「小さな部屋を開けたのか!?」
今にも噛みついてきそうなほどの強い声音で、彼はそう言った。



