答えを聞く、本当に直前のことだった。
天野に異変が起きた。
「うっ…」
突然頭をおさえ、地面に膝をついて苦しそうな表情を浮かべた。
「天野?」
天野の額からは汗が滲み出し、息も荒くなり始める。
「どうした天野!頭が痛いのか!?」
俺はかけ寄り問いかける。
しかし聞こえていないのか、俺の声に反応がない。
反応がないのではなく、反応できないのか?
こんなときはどうしたら良いんだろう。
俺は頭が混乱し、パニックになる。
とりあえず医者か看護師を…!
「天野さん!」
誰かを呼ぼうとしたそのときだった。
風を切るような声が、辺りを駆け抜けた。
向こうから白衣を着た男がこちらに駆け寄ってくるのが見える。
「すみません助けてください!突然頭が痛いって苦しみだして…!」
白衣の男性は、先ほど廊下で女性看護師と復縁話をしていた医者だった。
「大丈夫ですか?頭が痛いですか!?天野さん聞こえますか!」
天野は先生の声が聞こえたのか、体がぴくっと反応した。
「…せ……んせ……」
「大丈夫ですか?痛いですか?天野さん!………せいか!」
俺はこのときわかったんだ。
天野の口から答えを聞かなくとも。
"この人"だと。



