「…学校には、もう来ないのか」
少し間をあけて、天野は遠慮がちに答えた。
「行かないよ」
「なんで?」
部活での天野は、とても楽しそうだった。
いつも一眼レフカメラを持ち歩いていた。
特によく撮っていたのは、星空だった。
天野は星空が好きだった。
この辺りは海が近く、星が綺麗に見える。
学校に遅くまで残っては、屋上に上がり星空を撮っていた。
いつも嬉しそうな顔をしていた。
俺は、そんな天野の横顔が好きだった。
「写真を撮りたいからだよ。いい写真撮って、今年こそは大会で入賞したいの」
「そんなの、学校でも撮れるじゃないか」
「ううん、ここじゃないと意味がないの」
「なんで?」
そんなに景色が綺麗なのか。
星空が綺麗に見えるのか。
そんなことを考えていた。
でも天野から返ってきた答えは、俺にとってとても残酷な答えだった。
「好きな人がここにいるからだよ」
ああ。
聞きたくなかった。
聞かなければ良かった。
俺が一番聞きたくなかった答えだった。
"誰?"
聞きたくない。
だけど気になる。
天野の心を奪ったやつをつきとめたい。
誰か気になる気持ちが勝ち、俺は決心した。
「それって誰なんだ?」
そう言ったあと天野は照れ笑いをし、少しためらったあと口を開いた。
「それはね……」



