大好きなケーキに

美味しい食事

好きなだけ本を買って

時間にゆとりのある生活。

誰にも邪魔されない。

とある人は羨ましいと妬む。

またある人は暇人と罵る。

でも僕は

何をしても

心がぽっかりしてて

満たされない。


夕暮れ時、
僕は少し散歩に出ることにした。

少し寒くなってきた秋口。

風が涼しくて心地よい。

でもなぜか心は満たされない。

公園の近くを歩いていると前から歩いてくる家族連れが見えた。

5歳くらいの女の子が左右にいる両親に手を繋がれて歩いている。

女の子も両親も笑っていた。

すれ違った。


さらに歩くと

6人の男女が話しながら歩いてきた。

これから飲みに行こうなどと聞こえた。

みんな笑っていた。

すれ違った。


僕は僕がする行動を

誰にも咎められず

何にもとらわれず

自由に時間を過ごすことができるのに。

なぜ満たされない。



ケータイが鳴った。

君からの着信だった。

「一緒にお食事しませんか?」

君は僕の時間をとってしまうのに

君に気を使い
食事のペース、
会話
空気
全てを読まなければいけない手間がかかるのに



僕は了承した。

涙が流れた。


その日は君と数年ぶりに食事したよ。

笑った。

心が満たされていく。


「人の心は人でしか埋めることができないんだ」

僕は気がついた。