不思議の国の帽子屋

そんなことを考えながら外に出てみる。


人の多い所が大嫌いな俺は、もうすでに帰りたくなってしまった。


「ちっ……ほんとに出てきやがった」


「ああ、頭スカスカのジョーカーのくせしやがってよお」


「要らないわ、貴男。どうぞお帰りなさって」


「ウフフフッ!」



が、少し前にいるトランプ兵たちの悪意の籠もった囁き声でカチンときてしまい、家には帰らずに、わざとトランプ兵たちの間を通ってやった。


「はい、ごめんよっと。ああっと!悪い、足踏んだ」


いやだぁ!だの、いってぇ!だの聞こえたが全然関係ないな。


そもそもお前らよりはよっぽど使えるわ、俺。


お前らすぐに玩具箱行き喰らってんじゃんよ。


……バーーカ。


そうこうしている内に、最前列についていた。


やっぱり最前列となるとそれなりの奴らばかりなのか、話し声すら聞こえない。


全員が前を向いてクイーンたちが来るのを待っている。



スペードの3もチラリと目だけで俺を見ただけで、すぐに視線を前へと向けた。