足枷は外されるけど、

その代わりに手錠がつけられた。


細長い廊下をずっと歩き、

階段を上って突き当りが

オークション会場のステージ裏だった。


私、おばさん達にも捨てられたのかぁ。

結局なんだったんだろ。私。


一人ぼっちで・・・がんばって生きて、

それでも、最後は売られるのか・・・


ねぇ、お母さん。

貴方はどうして大罪を背負ったまま

・・・・死んでしまったのですか?



どうして・・・・

私を独りにしたんですか?


もういいよ・・・。

ここまできたら、どうにでもなれ。

私の人生ここで終わったようなものなんだから。


どうせ落札されても、

死ぬまでこき使わされるのか・・・

考えただけで吐き気がする。


ステージ裏は結構ボロボロだった。

オークションが行なわれている会場は

音楽ホールのようなつくりになっていて、

ステージに品がだされ、

それを観客席から見ている客が

入札していくシステムらしい。


一見、普通のオークションに見える・・・

これが人身売買っていうことを除けばの話だけど。


「おい。次はお前の番だ。行くぞ。」


男はそう言うと、私の手錠を引っ張った。

前のめりになりながらも私はステージに出た。