噂の地味子ちゃん

──…………や……
…こ………や…
…こうや……
……こうや!!!


うっすらと目を開くと翼の顔があった。
そして俺が目を覚めたのを確認すると優しく微笑んだ。
だが目が笑っていない。




どういうことか今理解した。
もう学校の前で周りがガヤガヤうるさい。
そんな周りに翼もうんざりしていた。
車内だというのにこの煩さ。頭がいたい。


「煌夜。行くぞ」
面倒くさがり屋な大輝によって5人全員が車内から出た。






「「きゃあああああああああ!!!!!!!!」」
車内からでた瞬間に聞こえる大音量の歓声。
はっきりいって迷惑だ。煩くてしかたがない。



こんな機嫌の悪い俺をよそに十夜は愛想を振りまくってる。

あいつはどういう神経してるんだ。
あいつは女癖が悪いから仕方ねえか。


こうしてズカズカ歩いて生徒会室に行こうと思ってたら遠くに黒い頭が見えた。


こんなヤンキー学校だからカラフルな頭のなかに黒髪がいりゃそりゃ目立つ。




そいつは遠目からだったが分厚い眼鏡をかけたおさげの地味子というべきヤツだった。



この学校じゃいじめの標的になるようなやつなんだろうと思ってたら一瞬だけそいつと目があった気がした。



その瞬間脳にビリっと電流が走ったように感じた。



なぜだろうか。自分でもよくわからない。


だがあの一瞬見えたあいつの目は今まで見たことねえくらいに綺麗で純粋だった。


あのあとあいつは気にするワケもなく玄関に向かっていった。




あれからしばらく俺は無意識にあいつを目で追っていた。





煌夜side終了