私は、アナタ…になりたいです…。

それでいい…?と聞く声に、胸を弾ませながら「はい」と返事した。
田所さんは私の耳元に響くような微かな息を漏らし、「じゃあまた…」と電話を切った。


震える指先で通話終了ボタンを押した。
耳の中にこだまする声にドキドキしながらベッドへと雪崩れ込む。


ただでさえ素敵すぎる人なのに、こんな自分と次の約束をしてくれるーー。


自惚れるな…と何度言い聞かせても、やはり胸が弾んでくる。
知れば知るほど惹かれていく愚かな自分に、どうしようも無いものを感じてしまう。



過去を振り返りながら、あの時とは違うんだ…と思い直そうとする。

短大に通っていた頃、初めて付き合った男性との苦い思い出が蘇ってくる。



サークルの交流会で知り合った彼は、近くの四大に通う3年生だった。
華やかな雰囲気がある人で、何処となく田所さんに似ていた。


背の高いところとイケメンなところが人一倍注目を集めていた。
交流会に参加していた先輩も同級生も、彼のことばかりを狙っていた。


なのに、彼は不思議と私の側にばかり寄って来て……。


「さっちゃん、俺と付き合おうよ」


お持ち帰りされそうになって、慌てて途中で抜けだした。
なのに、何処からか私のメアドを知り得て連絡してきた。


「会おうよ、2人だけで」


どうしてなのか分からなかった。
美人の先輩や可愛い同級生は、サークル内に幾らでもいたのに。


「とにかく一度会ってみて。さっちゃんと話がしたい」


何度断ってもしつこいから、一度だけ会ってみよう…と出かけて行った。

それが女慣れしている彼の上得意だった…というのは、後になってから知った。