私は、アナタ…になりたいです…。

気がつくと私は、いつもよりたくさんの料理を口にしていた。
田所さんが注文してくれるものはどれもとても美味しくて、しかも一品一品が少量ずつで食べきれるのも有難い。



「本当にどれもビックリする程美味しくて、沢山頂きました」


空いたお皿を目の前にして声を発した。

スカートのウエストの上には、胃がポッコリと出ている。
いつもは食べても指先が入るくらいの余裕があるのに、今日ばかりはとても無理だ。


「河佐さんに喜んでもらえて良かった。これでいつもと同じくらいの量しか食べれなかったら連れてきた甲斐がない」


私の倍以上の量を食べてるにも関わらず、田所さんはまだまだ入りそうな雰囲気だった。

でも、また次にしよう…と腰を上げた。



「ご馳走様」


ズボンのポケットから財布を出そうとする田所さんに気づいて近寄った。


「今日こそは私が払います!」


バッグからお財布を取り出そうとして女将さんに止められた。


「ここは悠ちゃんに払ってもらって。彼女はまた今度ね」


会計の紙を手渡し、お願いね…と笑う。
ぽかんとする私に気づき、二人が声をかけてきた。


「気にしなくてもいいよ。今日は僕が誘ったんだし」

「沢山食べても安上がりなのがうちの店のいいとこよ!」


申し合わせたかのようにウインクされ、思わず虚取った。
仲の良さそうな二人は、まるで親子か姉弟みたいだ。


見送られて暖簾をくぐると、外では秋風は冷たさを増し、中で火照っていた体も少しだけ寒く感じる。