私は、アナタ…になりたいです…。

「すまんねー、うちのときたら悠ちゃんの大ファンなんだもんだから…」


不躾で…と謝り、仕切り台の上につきだしを置いた。
それから田所さんに向かって「何を出そうか…?」と質問した。


「そうだなぁ…僕は何でも食べれるけど、河佐さんは?食べれない物ある?」


振り向いたその顔がいつもよりイキイキとしている。
そんな彼を見て、私はどう反応をすればいいのか迷う。


「……好き嫌いは特にないです。でも、量は多く食べれません…」


体に比例して胃も小さいから…と、そう答えた。


「知ってる。でも、ここの料理を食べ始めたら絶対いつもより箸が進むよ!」


期待しといて…と囁き、店主の方へと向き直る。常連らしい彼はカウンター上に貼ってあるメニューを確かめながら注文した。


「先ずはモツ煮込みから。それと豆腐のサラダとだし巻きをお願いします」

「モツと豆腐サラダとだし巻きね!おーきに!」


関西風のお礼を言って、店主は自分の脇にある大きな鍋の蓋を取った。

押さえ込まれていた蒸気が一気に白い塊となって天井へと浮かび上がる。半透明になって消えていった湯気は、芳ばしい醤油ベースの香りへと変化した。大鍋の中でクツクツ…とモツが煮えている。タレは飴色に光り輝き、ツヤツヤと照っている。


「ここのモツ煮込みは絶品なんだ。店が開業してからずっと煮汁を継ぎ足しながら煮込んでるから」