私は、アナタ…になりたいです…。

『おやすみなさい』と、最後の言葉を締めて送信した。
そのままパタンと後ろに倒れて、背中をベッドに押しつける。

長かった1日を振り返りながら、ドッと疲れていたことを思い出した。


額の上に手の甲を乗せ、電灯の光を遮る。
瞼を閉じると見えてくるのはスマイル王子の顔ばかり。

今夜はずっと笑っていた様に思う。
今夜に限らず、いつも笑顔しか記憶にないけど。


憧れの人は、遠目に見ても近くで見ても素敵な人だった。
唇から漏れてくる言葉の全てが、褒め言葉にしか聞こえなかった。

だから、私のことを自分の憧れだと言ったのもリップサービスの一つに違いないと思った。


(…ほらね、だからやっぱり社交辞令なんだって……)


思い返してみても、やはりそうとしか捉えきれない。
コンプレックスしかない自分に憧れる人なんて、絶対にいる筈ないのだから。


「はは…」と力無く笑って、涙が一筋溢れた。

緊張が解けてホッとしたせいもあるけれど、やはり何処か空しくて、悲しい気持ちが立ち込めている。


メールの受信音が聞こえたのは、その時だった。
頭の上に放り投げていたスマホに手を伸ばし、電源を入れてロックを解除。

社交辞令の返信メールに対する返事が入ってきたのかと思ったら、怒った様な顔の絵文字が混じっていた。

『電話番号は⁉︎』

ドキッとしたのは言うまでもない。
社交辞令だから教える必要はないと思っていたのに、彼はそうとは思っていなかったみたいだ。