中学の冬。

なんでこんな寒いのに掃除なんかしなきゃなんないんだろー。
早く帰ってまったりしたいのに。

部活の入ってないあたしの唯一の
楽しみは家に帰ってまったりする事だった。
そんなこと思いながら机を運んでるあたしに学年でも可愛いと言われている
結美と結美と仲良しの奈々が来てにやにやしながら言った。

「たっくんって沙月の事好きらしいよ!」

その一言で人に好きになって
もらえるはずもないのに
そんなありえない話をすんなり
信じてしまった岡田沙月は
その一言で人生は一気に変わった。
たっくん。本名は大野竜希。
クラスでもいろんな人に
可愛いと言われている。
サッカー部の小さくて美形の男の子。
女の子に対して無口でも
男友達の前ではものすごく明るくて。
でもその可愛さから女の子から
密かに人気がある男の子。

でもそんなたっくんがあたしのこと好き?!

あたしは目を丸くして否定した。
「ないない!絶対ないよ!
あんまり話したことないし、
あたしみたいな女好きになるわけ無いぢゃん!
誰から聞いたの?」
あたしは嬉しいって気持ちと
そんな筈ないと言う疑いで二人に聞いた。
「結美のお兄ちゃんにたっくんのお兄ちゃんに言ってたんやってさ♪
だから嘘じゃないと思うよ!
このこと秘密ねー!」
そう言うと二人は呆然としているあたしをほったらかしにしてどっかに行ってしまった。