キーンコーンカーンコーン 「こらー、席につけー」 教室に入ってきた先生のかけ声で、教室に散らばっていた生徒たちはそれぞれの席へ座る。 でも、私の隣の席には誰も座らない。 というよりまだ来ていない。 「おい、だれか伊勢谷(いせや)知らないかー」 「遅刻でーす、たぶん」 クラスのだれかの返事で教室中がどっと笑いに包み込まれた。 「また寝坊でもしてんのか、あいつは。まあいい。出席とるぞー」