そうすると、寝返りのような勢いで、カカロットの身体をバーダックの腕で包み込むように自分の身体の方へ引き寄せられる。

カ「と、父ちゃん、いきなり何すんだっ!いつもの所にいねぇーからオラ心配してたんだぞ。」

すると、横たわっていたバーダックの身体がゆっくり起き上がるが、腕の中ではカカロットを解放しない。

バ「何言ってやがる!おめえの事を気にしてるのは俺の方なんだからな!普段から何にも考えちゃいなさそうにしていたんだよ!おめえがいつも決まった時間に居なくなりやがるから、俺は一人になった時に不安になっちまって仕方がなかったんだ…」

一方的に話すバーダック、だが普段の態度と違う様子にカカロットが頭を傾けて不思議そうに聞いている。

カ「それってどういう事なんだ?オラの事スゲー心配してくれてたんか!」

ニコニコしてそう語るカカロットをよそに、眉間にしわを寄せて真剣な表情で再度カカロットを見つめるバーダック。

バ「こんなにも、おめえを心配してやがったのに、そんなにヘラヘラしやがって!」

カ「何、そんなに怒ってんだよ父ちゃん。オラそんなに心配されてたなんて嬉しいよ。」

バ「まー、よくも呑気な事をほざきやがるな!だからおまえはふぬけなんだよ!そんなんだから安心してられねーんだよ。」

カ「どういう事だ?」

バ「まだ俺がこんだけ言ってもわかんねーのか」

カ「へへっ!オラちっとも分かんねーよ」

そうヘラヘラしてるカカロットに対して更にバーダックの腕に力が加わり、ギュッ身体がきつく締め付けられる。
少し顔の距離もあったのが、鼻が触れるか触れないかまで距離になり言葉なしに互いの口を塞ぐ。カカロットも最初は複雑で抵抗があったが、次第に全身の緊張がなくなりバーダックの思いの儘状態になっていった…

カ「なぁ、父ちゃん。」

バ「……。」

バーダック本人もつい普段出さない態度を本音でぶちまけてしまったのを今更冷静に考えてみると、照れ隠しをするのに返す言葉を失った。

カ「なぁ、父ちゃんってば!こんな事して何で黙ってんだよ。」
なんとかバーダックも言葉を返そうと、頭をぐしゃぐしゃとして決断した時だった。

カ「実はさぁ、父ちゃんに今キスされてようやくオラのこのよく分からねえー気持ちが分かったんだよ!」

そうカカロットが告げるとバーダックが自分が照れていたのも忘れ、カカロットの方を振り向く。
だが、なぜかカカロットは顔をか赤らめて下を向いてしまう…

バ「あぁ、はっきりしないで何を下を向いてやがるんだ!その気持ちとやらをもっとはっきり教えろ!」
その声で恥じらっていたカカロットだが、我に返り、

カ「あっ!すまねぇ父ちゃん。それで、さっきの話の続きなんだけど…。オラやっぱり父ちゃんが父親だから好きだったんでなく、父ちゃんを普通に好きになってたみてぇなんだ…。」