さぁ、1年B組についた。
扉をあける。
クラスがざわついた。色々な場所からヒソヒソ声で私の名前が聞こえてくる。

しかし、そんなことは気にせず、私はクラス全体に響く声で言った。

「百合城りりは居ますか」

クラスの視線が1ヶ所に集まった。
居た。窓際で外を眺めている女の子が。
百合城りりだ。

私はりりのところまで歩いていく。そして言う。

「りり、あなた、生徒会に入らない?」

きょとんとしている。その顔も可愛い。が、今はそんなこと思ってる場合じゃない。

「なんでですか?」

と、りりはたずねる。

たしかにそうだ。
普通に考えたらそういう疑問が湧くだろう。私は何故かりりは生徒会に入ってくれると信じていた。でもそうではなかった。入学初日にいきなり生徒会に入ろうと言われて、はいと返事なんてするはずがないんだ。

理由をたずねられて困る。本当のことを本人には言えない。だからと言って嘘はつけない。

「えっと、その、あなたを入れたいからよ!」

我ながらに変なことを言ってしまったと後悔した。そして、聞きたくない答えが返ってきてしまった。

「申し訳ないんですけど、よく分からないところには私行かない主義なんです。ごめんなさい。他をあたってください。」

なぜだか心はフラれたような、締め付けられる気持ちになった。

「分かりました。また出直してきます。」

そう言って教室を後にした。

顔には出てなかったと思うけれど、ちょっと泣きそうだった。なぜ私はうまくいくことしか考えなかったのだろうと後悔した。

落ち込んだ私が向かうのは、大好きな生徒会だった。