「お母さーん。塵袋塵置き場に置いて来るね」 母は「ええ」と言いながら 昼食の準備をしていた。 私は玄関まで小走りで行き 靴を履く。 そしてドアノブに手を掛けた所で 『……よ…ね……か…?』 なんともいえない、不思議な声が 聞こえてきた。 子供の声ではない、大人の声でもない 曖昧な声だ。 「誰…?」 辺りを見回す、が。 誰も居ない。