「散々だなぁ…」
ため息をついてまた歩き出した。
私だって好き好んでこの森を通ってるわけじゃない。ただ家までの近道だから通ってるだけだ。平らで何にもない、おまけに行きも帰りも怖くない、ごく普通の出来た獣道だ。まるで私の人生を表しているかのようだ。
「あれ?」
遠くに赤い何かが見えた。目を凝らすと、鳥居だった。
「なんで鳥居が?」
この辺りに神社なんてないはず。もしかしたらどこかで道を間違えたのか。私は通学バックからスマホを取り出して、ナビアプリを使う。すると…
「きょ、強制終了?なんで?じゃあ、ブラウザは?」
ここにも同じく強制終了の文字が表示された。
「嘘っ、なんでなんでっ?」
ふと右上の電波強度をみる。そこには圏外の文字。
「え…なんで?なんでこの森で圏外になるの?もしかして故障?故障なの?」
焦った私は何度も何度もスマホを再起動させた。でも何回やっても結果は同じ。圏外のままだった。背中に冷汗が垂れる感触がした。
「どうして…どうして!?」
気付いたらスマホを動かす指も冷汗で濡れていた。不安も焦りも絶頂になった。
ついに私は平常心を取り戻すことが出来ずに、だんだん涙が出てきた。
「なんでよ、どうしてなのよ…!」
『なんで』『どうして』。
それしか口から出なかった。すると涙でぼやけていく視界の先に、少女が写った。
赤い着物と黒い袴におかっぱ頭。座敷わらしのようだった。そして、ここらでは絶対に見ない格好だ。

