後片付けを済ませると「じゃね?」と帰ろうとすると腕を捕まれ引き寄せられる。

「郁人?」

「帰るなよまだ一緒に居たい」

抱きしめられ郁斗の顔が近づいてくる。

「美寿々」

郁斗の唇が私のに落ちてきた。

「ん…」

私の初めてのキス…

「美寿々、今夜一緒にいてくれないか?」

「…」

「もう我慢しない美寿々が欲しい。美寿々は?」

「…私も…」

私も郁斗が欲しい…
私が初めて好きになった人…
私が初めてキスをした人…
そして初めて私を抱く人…
郁斗に私の全てを上げる。
この先の事は分からないけど後悔はしない。

「美寿々好きだ」

再びキスをし、いつ呼吸をしたら良いか分からず苦しくなり少し口を開けると郁斗の舌が入ってきた。

「…ん…」

郁斗の舌が口内を弄るように私の舌を絡め取り吸いあげる。
唇が離れると腰と膝の裏に手を回し抱き上げられる。

「キャッ郁斗」

「暴れると落ちるぞ?」

郁斗は笑みを浮かべて寝室に入ってベットに降ろされる。

「あ…あの郁斗…私初めて…なの…キスだってしたことなかったの…」

「俺は初めてじゃない」

「そりゃ郁斗はモテるから…」

「違う他の人とはキスしてない。俺がキスしたのは美寿々だけだよ」

私と?

「大学の時、バイトで疲れてソファーで寝てる美寿々に何度かキスをした事ある。軽いキスだけどな」

「うそ?」

郁斗は口角を上げて笑う。

「だけど抱くのは初めてだ…俺を美寿々の初めてにしてくれるか?」

「郁斗…私を初めての人にして…」

郁斗が初めてキスをしたのは私…
郁斗が初めて抱いたのは私…
痛さより嬉しさで涙が流れた。

「俺も初めてだから余裕なかった…ごめんな?痛かっただろう?」

「ううん大丈夫だよ」

郁斗はとても優しくしてくれた。
郁斗の肌のぬくもりを私は忘れることが出来るだろうか…