二人でこっそり旅館を抜けて、旅館裏の自動販売機前まで来た私たち。


「あの、長谷川君・・・・・・?」

「ベンチ、座って。待ってて。」


長谷川君が、自動販売機で飲み物を買う。


「はい。」

「えっ?」


目の前に差し出されたのは、ペットボトルの冷たいオレンジジュースだった。


「い、いいの?」

「うん。仲良くしてくれたお礼。」

「な、仲良く?!わ、私が・・・・・・勉強を教えてくれたお礼におごるべきなのに・・・・・・!」

「全然いいから。受け取って?」


「・・・・・・あ、ありがとう・・・・・・。」