それでも動く事が出来ないのは、動く気がないからなのだろう。 「でも、流石に大好きな新川からさ、大嫌いってたくさん聞かされるのは辛いなぁ」 「………だって、あたしは、本当に、」 言い澱む。大嫌いな筈なのに、近付きたくもなければ近付かれたくもなかったのに。説明し難いこの感情と沸き上がる嫌悪感を現すに相応しい言葉など、彼の造り出す雰囲気に、この世界には見出だすことなど出来やしないだろう。 筆舌に尽くし難い。