筆舌に尽くし難い。

再度頬に唇を落とされれば、冷や汗が流れると同時に吐瀉感で胸は今にも溢れ出そうだ。
信じられない出来事と状況、そして降って湧いたようなあり得ない数々の言霊。
先輩があたしを?いやいやいや。おかしいでしょこれ。どうして何もかも持っているこの人が何にもないあたしなんかに好意なんて持つのか。そしてあたしはこんなにも嫌いで嫌いで仕方がないのに。
そう思えば、この状態がやけに腹が立って仕方がなくなってきた。
きっと先輩は手慣れているから、からかってるんだ。じゃなければこんな馬鹿な話があるわけがないんだから。

「気持ち悪い…!何を言い出すかと思えば、……あたしは先輩が大嫌いなの!
近付きたくない!近付かれたくもない!顔も見たくない!」