ゴーンゴーンゴーン…
午後6時、今日も変わらずお寺の鐘が3回鳴る。
『龍!6時になっちゃったよ!』
『帰ろう、龍』
幼馴染み二人の声をよそに俺は探し物を探していた。
『帰りたきゃ二人で帰れよ!俺は見つかるまでここにいるから!』
『でも…』
『もうちょっとなんだ…!絶対見つけてやる!』

今思えばあのときの俺は何を焦っていたんだろう。
何を探していたんだろう。
門限の6時を破ってまで、石と砂と水しかないような河原に。
誰かと約束したような気がする、でもそれはなんなのか、もう思い出せない。
気づけばもう日は暮れそうだった。
早く、早く見つけないと。

『……』
『なんだよ…まだ残ってたのかよ』
『…僕も探す』
『あ?』
『だって、龍だけが怒られるのなんてダメだよ。僕も探す。』
『わ、私も!』
そう言って二人は屈んで俺と同じように探し始めた。

『ありがとう、真優、××_____』
………あれ?
もう一人の、名前、誰だっけ、?
思い出せない、どれだけ記憶を捻っても。
そんな、ダメだ。
あいつの名前は忘れちゃ、ダメだ。
一緒に探したじゃないか、最後の最後まで探して、そして帰ったじゃないか。
あ、れ、?

あれあれあれあれあれあれあれあれあれ??????????
そもそもそんなやついたのか?あれ?なんだっけ?
思い出せない、この記憶すら俺が作った物なのか?
わからない、考えれば考えるほどわからなくなる。
あぁ。
頭が、いてぇなぁ…。


ゆうやけこやけで日が暮れて
山のお寺の鐘がなる
お手々繋いで皆帰ろ
烏と一緒に帰りましょ