先日降った雨のせいだろうか地面がぬかるんでいる上に今私は靴を履いていない。
木の枝や石ころの上を走り続けた足の裏はきっと傷だらけなのかもしれないが、不思議と痛みは感じなかった。
足の裏の傷なんかよりも恐怖が勝っていた。
ガッと足首に強い衝撃が走りそのままぬかるんだ地面に倒れ込んでしまった。
恐らく木の根につまづいてしまったのだろう。
急いで立ち上がろうとしたが何かがそうさせなかった。
私の背中に誰か乗っている。誰かはわかる。
せめてのも思いで蚊の鳴くような声で私は言った。
「…やめて…殺さないで…」
私の背中に乗っている人は目の前に鈍い光を放つモノをチラつかせ、とても優しい声が耳に届いた。
刹那私は意識を手放した。
私が最期に聞いた言葉それは