女子とすれ違うたびに黄色い歓声やざわめきが聞こえる。 たしかに、美形だ。 それは認める。 …というか、今はそのことはどうでもいい。 はやく降ろしてほしい…。 そのときあたしの願いが彼に通じたのか、彼はあたしを降ろしてくれた。 ひさびさに地面に足をつけたあたしの目の前にあるのは使われていない特別教室の扉だった。 「…こ、ここはどこですか…?」 「入れ」 いやいや、その前にここがどこか教えなさい! なんてことが言えるはずもなくて…。 仕方なくあたしはその教室に入っていく彼の背中を追った。