帰る支度ができてリュックを背負おうとしたとき。



「立花桜奈いるか~?」



タチバナオウナ?



……は?あたし?

クラスのみんなの視線は教室の入口にあった。

きっとそこにあたしの名前を呼んだ人物がいるのだろう。



あたしもそのほうを向いてみると…

そこにはあの不機嫌くんがいた。



な、なんでいるの!?

あたしの頭の中には ? で埋め尽くされていた。



その不機嫌くんは美形なだけあって女子の黄色い歓声もあがったが、あたしにはそれを聞く余裕はなかった。



不機嫌くんはあたしを見つけたらしく、「あ、いた」と言って歩いてくる。


来ないでぇ……


…あ、そうだ!

雪に助けてもらおう!



…って今日はもういないんだったあああ!

たしか用事があるって言ってたっけ。



もう、終わった…。