気付いたら恋に落ちていた。。。


高校2年生の春といえば、クラス替え
今……1年生の時のことを思い返してみると楽しかったなー

入学式当日、緊張しながら言われた通りの自分の教室に入る。
座席表を見て、自分の席に向かう。

廊下から2列目の後ろから2番目……

(まあまあいい方だなー)

とか思いながら、ぼーとしているあたしの前に影が揺れた。

前の席の子が来たのだろう。
ストンとその子は席に座った。

(いい匂い。桜の香り?)

と考えていると、前の席の子がいきなりこっちを振り向いて……

『私、長谷川 さくら!さくらって呼んでね!これから1年よろしくねー!』

にこっと笑う。満面の笑みだ。
笑顔が眩しくて、とても可愛い。
ふわふわしていて、少し天然が入ってそうな子だ。

なんて、あたしがさくらと名乗った子の笑顔に見とれていると……

『名前はー?』

(あ!忘れてた!)

『花田 咲です!こちらこそよろしくね』

あたしも笑顔を振りまく。

『!?』

さくらが何か驚いている。

『どしたのー?』

『……ぁわい』

『え?』

『咲めちゃ可愛い!ねえねえ咲って呼んでもいい?』

『うん!ってもー呼んでんじゃん!』

『えへへ……そんなことより!咲もう1回笑って!お願い!』

『えーやだよー』

『むー』

さくらは頬を膨らませた。
そんな顔も可愛い。

『なんであたしに笑ってほしいの?』

『そんなの決まってんじゃん!とーっても可愛いからだよ!』

『え、、、』

『ほんとだよ!だから笑って!』

『そのうちね』

そんなたわいもない会話をさくらと続けていたら、あたしの隣の席の子がきた。
女子かなー?と思っていると、男子だった……

『あのー、花田 咲です。隣の席だし、いろいろよろしくね?』

隣の席の男子は、ヘッドフォンを外して

『手塚 椿。よろしく。』

っとひとこと言ったら、またヘッドフォンをつけて机に伏せた。

(椿って言うんだ。女の子っぽいなー)

なんて考えたり、さくらと喋ったりしていたら……チャイムが鳴った。

ふと周りを見渡すとほぼ生徒は揃っていた。

(いつのまに?)

なんて考えていると、
先生が入ってきた。

『はーい、静かにー。
これから1年ここのクラスの担任をもちます。八坂 蘭です。よろしくねー』

若くて綺麗な先生が自己紹介をした。

『楽しい1年になるといいね。』

と笑顔でさくらが小さい声で言った。

気付いたら、あたしはいつもさくらと一緒に行動し学校生活をそれなりに楽しんでいた。

それからというものの、さくらとは大親友になっていた。


『さぁーきぃー』

『!?』

『なにぼーとしてんの!こんなに緊急事態なのにぃー』

そーだ。今はさくらとクラス分けの表を見てるんだった。
思い出に浸ってるあたしを引き戻したさくらは泣きそうだ。

さくらが緊急事態って言っているのは、あたしとクラスが分かれてしまったからだろう。
あたしも悲しい。

(でも、クラスが分かれただけでこんなにも悲しんでくれる親友がいてあたしは幸せ者だなー)

なんて考えていたら、

『咲?なんでにこにこしてんのー?』

『あ、いやなんでもない!』

『咲あたしになにか隠してるでしょ?』

さくらは天然なのにこういうところは鋭い。

『……えーと、やっぱ恥ずかしいから言わない!』

『えーーー!』

さくらが教えて!教えて!と連呼してくる。

あたしはそれから逃げるように、自分の新しい教室に向かった。

深呼吸を1回。

よしっ!いつも通りに学校生活を楽しもう!

最初に黒板に貼られた座席表を見る。

(えーと、あたしの席は……
また、廊下から2列目の後ろから2番目?!)

すごい偶然だなー。と思いながら席につくと……

後ろから頭を軽く叩かれた。

『よっ』

聞き覚えがある声が聞こえた。

『すみれだ〜!』

『おう。また1年間よろしくな!』

この子は藤沢 すみれ。1年の時同じクラスだった子だ。
運動神経がずば抜けて女子トップ。
男子と比べても上らへんの成績は取れるぐらい運動神経がいい。
そしていたずら笑顔が最も似合うと言っても過言ではない。
あたしによく向けられるいたずら笑顔はなんでも許せてしまえそうな可愛さだ。

すみれと1年の時の思い出話をしていると……

『あ』

隣から声がした。
振り返ると……

『あ!手塚?!また隣?』

『うん。そーみたい。』

1年の時に同じクラスだった手塚が隣なら、なんとか学校生活も送れるだろう。

と思っていた2年になってちょっとうかれてたあたしは思いもよらなかっただろう。

この隣の席の手塚 椿に恋に落ちてしまうことを……