「りっちゃん、帰ろ!」

後ろ背に声をかけられて、振り向けばブンブンとこちらに手を振っている見慣れた姿があった。
そのまま無視して立ち去ろうと席を立てば、その人物は断りもなくズカズカと入ってきて私の腕を掴んで、帰ろともう一度言ってきた。
さすがに断りきれず、いいよと言えばもの凄い笑顔で喜んで、私の手に指を絡めてきた。
周りから私達をはやし立てる声が聞こえる。
それに照れている目の前の顔が新底腹が立ったので、手を離して蹴ってやった。

「りっちゃん痛いよ・・・・」


「ねえ、りっちゃん!ゲーセン行こう」
「やだ」

「ねえ、りっちゃん!アイス食べる?」
「お腹空いてない」

「ねえ、りっちゃん!りっちゃん!」
「うるさい黙れ」

さすがにここまで言えば黙ってくれた。(りっちゃんのケチと言ってきたので肩パンせざる終えなかったが)
スマホで適当にSNSを開いて最近の出来事をチェックしていたが、だんだん飽きてきたので隣でシュンとしている奴の腕をうざいと思いながらも、自分の腕を絡めてやる。
今まで下を向いていた顔が、すぐこちらに向いた。

「り、り、りっちゃん、どうしたの・・?」
「別に・・・・嫌なら離すけど」
「い、嫌じゃない!!嫌じゃないから!!」

えへへ温かいななんて幸せそうな顔で言ってくるもんだから、緩んでる頬をつねってやった。

「帰るよ」
「えーもう!?」
「寒い」
「もうすぐ冬だもんね」
「そうだね」
「今日電話してもいい?」
「無理」