「…あ、これ」

伊織にあげるお菓子を選んでいると、ふと、ある物が目に留まった。


ある物ーーそれは、昔伊織が私にくれた、あめ玉。

淡くグラデーションのようになったそれは様々な色があって、とても綺麗で。

ひとつひとつ、透明のビニールで包まれているそれは、本当に可愛い。


懐かしいのと同時に嬉しくなって、ついつい顔が緩んでしまう。


ひとつ20円だから、あめにしては高いかもしれないけど…。


「おばちゃん、これ、ください」


私はレジにいる伊織のおばちゃんにそのあめ玉を自分の分と伊織の分を合わせてふたつ、差し出した。