「から…」

からかわないで。そう言おうとするが、伊織の唇が言葉ごと呑み込んでしまった。



ーー触れるだけの優しいキス。

唇から伝わる伊織の体温がくすぐったい。


「ふ…、」


唇が離れてお互いに見つめ合う。


「実はね、私も買ったんだよ。おんなじあめ玉」

ほら、と言いながら先程買ったあめ玉をひとつ、伊織に渡した。

代わりに、伊織の持つあめ玉を受け取る。


「「……」」


そして、再び見つめ合って、


「「ふっ、」」

同時に吹き出した。