あめ玉がふたつ

ああ、視界が…。

なんて、そんなことを思っていられる余裕など、私には無い。


目元に感じる伊織の手の温もりに、発熱しそうな勢いで全身が熱を帯びる。


「…い、伊織…!」

「ちょっと待て。もうちょっとだから」


伊織の声があまりに優しいもんだから、つい、黙ってしまう。

ギュッと閉じた目に力を入れていれば。


「……?」

なにやら、ガサゴソと物音がするのは気のせいだろうか。


「…伊織、まだ?」

何をしているのかどうしても気になって訊いてみる。

と。


「ん。オッケー」


伊織の声が鼓膜を揺らした。と、同時に、温もりが消え、代わりに視界がパッと開けた。


開けた視界に見えたのは。


胡座をかいて、右手を差し出す伊織の姿。

そして、その手の上にあるのはーーー


「…これ……」