「ナナちゃん、いつもありがとうね」


会計を済ませると、おばちゃんは柔らかく笑って、そう言った。


「おばちゃんとこのお菓子、美味しいから」

つい、ね。買っちゃうんだ、いつも…。

「フフフ。またおいで」

にこにこと笑顔のまま手を振るおばちゃん。

私は最後に「ちょっと伊織の部屋寄ってくね」と言うと、おばちゃんは何故か「あの子が喜ぶねぇ」と呟いて店の奥へと消えてしまった。


…伊織が喜ぶ?

なんでだろ、なんて考えようとして、気付いた。


「(…お菓子貰えるからだ)」

多分。いや、絶対。